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たからもの


お久しぶりです。

「身代わり」の二次を更新しますっ!

遅かったくせに予告のリディでもなければ、陰湿でもないです。
ごめんなさい。
(陰湿なリディは、もっとどん底な気分にして書きます。)

更に言うなら、ものすごく短いです。山も谷もないです。

「それでもいい!バッチ来い!」

という寛大な方は、どうぞサラリと読んでいってください。

「これは、あなたに大切な人ができた時にお渡しなさい。」

そう言って母は、青い布張りの箱を開けた。中には二つの宝石が輝いていた。
母がよく身に着けていたものだ。

「では、マリーにあげてもよいですか?」

『大切な人』と聞いて、すぐに思い浮かんだ膝の上にいる妹の名前を挙げる。名前を呼ばれた妹は振り向き、母は少し困ったような微笑みを浮かべた。

「確かにマリーは大切な妹だけれど、そういうことではないの。・・・そうね、家族以外の女性で自分が絶対に守ると決めた人、そういう方にこれを贈るのよ。」

家族以外の女の子とは、何度か会った。一緒にピアノを連弾した少女や、ある貴族の屋敷の庭を案内してくれた少女、他にも何人か紹介された記憶がある。しかし、そのどの少女の顔も名前も曖昧だ。いや名字はしっかり記憶している。「どこどこ家の令嬢」と挙げ連ねることは可能だろう。
よほど変な顔をしていたのか、母は一転してころころと声を出さずに笑った。

「大丈夫よ、必ずそんな人に出会うから。それに今はまだ分からなくても、出会えば絶対に分かるわ。」

母の言葉を全て理解できない。きっとそんな顔をしていたのだろう。
それなのに母は満足そうにまた笑った。
家庭教師達の話はきちんと理解できるのに、母や父はあまり理解できない事を言う。まるで自分に意地悪をするように。
そして、理解できない自分を見て微笑む。

でも、決して嫌じゃない。
話が理解できない自分でも、母と父は微笑んでくれる。その笑顔の温かさが心地いい。
でもその心地よさが何だか気恥かしくて、膝に抱いた妹の髪に顔をうずめて拗ねたふりをする。
拗ねた態度をとったのに、まだ母は笑っている。
母が言ったような少女と出会うのだろうか。
紹介された数々の少女、これからも紹介され続けるのだろう。
その中に『大切な人』が現れるのだろうか。
『出会えば分かる』それだけを頼りに、たった一人の『大切な人』を見つけられるのだろうか。







(確かに。出会ってからずっと頭から離れなかったな。)

目の前で揺れる金色の髪。髪の間からかすかに見える青い光。
急に昔のことを思い出したのは、きっと酔った貴族達の昔語りと彼女が着けている耳飾りのせいだ。

(初対面で平手打ち、か。)

彼女と初めて会った時のことを思い出し、つい笑ってしまう。
聞こえてしまったのか、前を歩くミレーユは不思議そうに振り向く。
伸びた髪が肩で揺れ、青い宝石が4つになる。

「どうしたの?」
「昔のことを思い出していたんです。」
「昔のこと?」
「ええ。母からこれを見せてもらった時のことです。」

傾いた耳に手を伸ばして、耳飾りに触れる。

(母はやはり笑っているだろうな。)

いつも朗らかに微笑んでいる母だったから、きっと今の自分を見て「ほらね、絶対に分かるって言ったでしょう?」といたずらが成功したように笑っているだろう。
そう思えるようになったのも、今が幸せだからかもしれない。
いや、この4つの青い光を見つめている限り、自分は幸せなのだと思う。




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comments

キレイです

いやいや。素敵なお話でした。
殿下のお母様はアルテマリスの人だから絶対にぶっ飛んだ人だとわたしは個人的に思ってます。

で、わたしもミレーユは髪を伸ばすであろうという設定で書いてきたけど、最近、伸ばさないんじゃないの?という気持ちもおきてます。
シアランで短髪を流行らせるのもいいなあなんて。

株が下降している殿下の株を上昇させるお話、ごちそうさまでした。
ガブリー!

桔梗さま

おはようございます。
読んでいただいてありがとうございます。

桔梗さまの中では、アルテマリスの人=ぶっ飛んだ人なんですか!?
お母様は(亡くなっているので仕方ないのですが)原作にあまり出てこられないので、母として優しい王道的な雰囲気にしました。
桔梗さまのお母様像を見て「そっちかぁ~!!」と机を叩いてしまいました。
母としては落ち着いていても、女としてはぶっ飛んでると、前大公夫妻の出会いで妄想できそうです!

〉シアランで短髪
ミレーユにその気がなくても、周りの貴婦人が真似しそうですね。
「あら、もしかして髪をお切りに?」
「え、えぇ。まぁ・・・。」
「あんなに『ご機嫌取りのために、あの変人姫の真似をするなんて』と仰っていましたのに。」
「そういうあなただって!短くなったんじゃありませんこと??」
「わ、わたくしは、そろそろ夏だから暑いと思って!」
みたいに、じわじわと広まりそうです!


> ガブリー!
ガブリー!
食べられちゃいました!!

幸せです

こんばんは。
新作『たからもの』を拝読させて頂きました。

あかつきさま、読後の幸福感をありがとうございます!
リヒャルトが幸せそうだと、ほっとします。
しかも、リヒャルト視点で幸福を味わえるなんて・・・(泣)!
リヒャルトの『たからもの』は、耳飾りとミレーユと母の想い出ですね(泣)。
何だか涙腺が緩いようです(笑)。とても素敵なお話でした。
新生活に向けて色々とお忙しいと思いますが、次の創作も楽しみにしております。

sakuraさま


こんにちは。
読んでいただいてありがとうございます。

> リヒャルトの『たからもの』は、耳飾りとミレーユと母の想い出ですね(泣)。
あの駄文から察していただいて嬉しいです。
嫌だった過去もミレーユといたら、全部丸ごと「たからもの」になるのかな、と。

〉何だか涙腺が緩いようです(笑)。
大丈夫です!春なので花粉症の所為にできますよ。

これからもマイペースに頑張りたいと思います。

すみません(><

遅れ馳せました。拝読させて頂きました!
殿下このまま政変なくお育ちになられたらどれだけおっとりとした大公になられていたかと…今はもう記憶にしかない平穏に切ない思いを噛み締めます。殿下の追想として書かれていらっしゃるから余計に。
前回も書かせて頂きましたが、あかつきさまの文章は非常に好みのツボに入って下さるので、どん底なリディも楽しみにしております。

イケダさま

こんにちは。
遅れ馳せなんて、とんでもない!
コメントしていただいて、本当にありがとうございます。

〉今はもう記憶にしかない平穏に切ない思いを噛み締めます。
きっとアルテマリスにいたころは、考えるだけで自責の念に駆られたのかもしれませんが、
側にミレーユがいたら、何でも幸せな記憶になるんでしょうね。
本当に、ミレーユは光です!

〉どん底なリディも楽しみにしております。
ついつい、春陽気に誘われて幸せな話になってしまいました・・。
リディになりきって、自分を嫌いな気分にしていきます!!


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あかつき

Author:あかつき
地域 :兵庫県
血液型:B型

☆好きな漫画☆
『フラワーオブライフ』
『ハチミツとクローバー』
『ベルサイユのバラ』
『君と僕。』
『風光る』『海街diary』
『あさきゆめみし』
『天才ファミリーカンパニー』
など

☆好きなラノベ&小説☆
『身代わり伯爵』
『彩雲国物語』
『伯爵と妖精』
『死神姫の再婚』『十二国記』
『銀河英雄伝説』
『嗤う伊右衛門』『魍魎の匣』
など

☆好きなアニメ☆
『マクロスシリーズ』
『夏目友人帳』『とらドラ』
『銀魂』『ヘタリア』
など

主に『身代わり伯爵』シリーズの二次創作を置いています。
よろしければ、どうぞゆっくりしていってくださいね。

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