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みなわのとき

新年一発目の「身代わり伯爵」の二次創作です。


「今年初」だけでなく、「初セシリア」です。

基本的にミレーユ・リヒャルト・フレッド(ちょろっとリディエンヌも)でしたが、セシリアという引き出しも追加できました。
(「手紙シリーズ」では無いのですが、やめたわけではないです!)


少し長くなっていますが、時間が許しましたら〈続きを読む〉からどうぞ。


注意)
登場する庭園の雰囲気や設定は、私の思い込みと独断的なものです。(二次創作は基本的に、その上に成り立っているのですが)ごめんなさい。

(どうしてこんな状況になってるの!?)
(どうしてこんな状況になっているの!?)


アルテマリスの睡蓮の宮。その近くの庭園では、赤毛の姫君と華やかな金髪の騎士が散策をしている。
いや、本当は騎士ではなくれっきとした女性であるミレーユなのだが、今は兄のフレッドの身代わりとしてセシリアに付き従っている。

そして、この二人の間には見た目の華やかさとはかけ離れた、重たい空気が立ち込めている。

二人が歩いている庭園は、シンメトリーが基本のアルテマリス特有の庭園ではなく、未来の王太子妃であるリディエンヌが考案したリゼランド風の庭園で、出来るだけ自然に近い植物の配置になっている。
すでにこの庭園に何度か訪れた事のあるセシリアは、花嫁修業で忙しいリディエンヌからフレッドを案内するように頼まれたのだ。

植物の持つ個性を活かしつつ、自然と調和するように計算されており、時々、照りつけるような晴天の日差しを木の葉が和らげてくれる。

しかし、庭園で朗らかな笑みを浮かべる花々さえ恨めしいほど、一定の距離と重たい沈黙が二人の間に鎮座している。

「・・・あ、あの!」
ミレーユは耐え切れず、セシリアに話しかけた。
「何かしら?」
案内のつもりか、前を歩くセシリアは振り向きもせずに答える。
「えぇっと・・・、あ!あの、随分歩いて来たので、あそこで少し休みませんか?」
声をかけたはいいが、内容など考えてなかったミレーユは、辺りを見渡して見つけた四阿を指差す。
「・・・・そうね。確かに歩いて疲れたわね。」
距離でいえば、疲れる程歩いていないが、沈黙に耐え続けた精神的疲労がこたえている。

(ど、どうしよう・・・。)
四阿に誘ったはいいが、ミレーユはどう話しをしていいか分からなくなっていた。ミレーユにとっては、セシリアとの会話はどこにスイッチがあるか全く解らない地雷原を歩くようなものだ。

初対面でセシリアの恐ろしさを目の当たりにしてから、セシリアはミレーユの恐怖の対象となってしまっている。




一方、セシリアにとって隣に座るのは、ミレーユではなくフレッドなのだ。

セシリアの大好きな相手で、すでに白薔薇乙女の会の「抜け駆け禁止」を破ってしまっている。
緊張して何を話していいか分からない。
普段なら、フレッドの軽口に怒っているセシリアだが、フレッドが黙ってしまっている今、自分からどうしていいのか分からない。
そもそも、フレッドが何を考えているのかつかみきれないセシリアである。

(どうしよう・・・。)
(どうしたらいいのかしら・・・。)

実は二人の陥ってしまった迷路はかなり近い所にあるのだが、当人たちがそれに気付く気配さえない。

それどころか、ミレーユは目の前の罪もない空を睨んでいるし、セシリアはドレスの裾を握り締めたまま、膝を見つめている。



人形のように膝を見つめていたセシリアは、ふと、ある事に気付いた。

(・・・私の膝に、伯爵の頭の影が乗っているわ・・・・。)

穏やかな風と踊る髪の様子も、上下する睫毛も、形のいい唇も―。

全てが影となってセシリアのドレスに写しだされていた。


誰にでも優しくて、誰のものでもないフレッド

そしていま、フレッドの影を、セシリアは独占している。


(影になら触れられるかしら・・。)

膝に乗ったフレッドの頭にセシリアはゆっくりと手を伸ばす。

本当に触れてもいいのか、一瞬戸惑ってしまうが、影のフレッドがセシリアの行動に気付く様子を見せないので、踏みとどまっていたわずかな距離を詰める。

一度触れてしまえば、もっと触れたくなってしまう。

隣にいる本人に気付かれない事をいいことに、セシリアはフレッドの髪をドレスの上でもてあそぶ。

セシリアが幾度となく妄想日記で思い描いた、憧れの王子様との、恋人の仕草。

今はまだ、セシリアを淑女として扱ってくれないフレッドだが、いつか自分を女性として見てくれる日が来るだろか。

(そんな日がいつか来るのかしら―。)

そう思うと、セシリアは切ないような、暖かいような気持ちになる。



一方、ミレーユは隣のセシリアの放つ空気が和らぐのを感じて、視界の端で様子を伺ってみる。

(笑ってらっしゃる……?)
理由は分からないが、膝の上で手を動かして、やわらかく微笑んでいる。

そのセシリアの様子を見ていると、まさか花瓶や燭台を投げつけるような側面があるとは思えない。

(・・・本当にかわいい方だなぁ。)

そう思って、セシリアの顔をよく見ようと頭を動かした瞬間、セシリアはビクッと肩を震わせて、ゆっくりとミレーユを見上げる。

さっき、ミレーユが見た穏やかな笑みは消え、驚きとも恐怖とも知れない表情を浮かべている。

(・・・え?どうなさったんだろ?)

「・・たわね。」
「え?」
「見たわね!?」
「何を、ですか?」
「見たのでしょう!?正直におっしゃい!!!」
「はいぃ!!ごめんなさい!!」

何のことだかさっぱり分からないミレーユは、セシリアの放つ空気が急速に殺気を帯び始めたのを感じて、とっさに謝った。

ミレーユの返事を聞いて、突然セシリアは立ち上がる。

(ひぃぃ!)

セシリアの殺気に恐怖したミレーユはとっさに、腕で頭を庇った。
セシリアの周りには、投げられるようなものは何も無いが、ミレーユにもいつも庇ってくれているリヒャルトがいない。

しかしミレーユの行動に反してセシリアは、その場から一目散にもと来た道を駆け出していた。

(・・・へ?なんで?)



目を白黒させたミレーユなど知らないセシリアは、パニックになっていた。

(なんてこと!!見られてたなんて!!)

気付いていないと思っていたからこそ、フレッドの影に触れていたのに、それを見られていたとは。

(どこから?どこから見られていたのかしら?ぁぁあ!笑うに決まっているわ。伯爵のことですもの、絶対に笑うわ!!)

セシリアは白百合の宮に戻るやいなや、ローザに『誰も取り次がないで!特に伯爵は絶対に取り次がないで!!』といい残して、自室にこもる。

ベッドの枕やクッションに顔をうずめながら、ぽかぽかと殴って八つ当たりをする。

(どうしてあんなことしてしまったのかしら。止せばよかったのだわ・・・。)

気が済むまでクッションに八つ当たりをして、幾分落ち着いた頭が思考を始める。
恥かしさの次に沸いてきたのは、後悔の念。
あんな事をしなければよかった。見られて笑われる事もなかったのに。
ひとつ許されると、もっと許して欲しくなる。
―もっと。もっと。

いつまでフレッドは自分の騎士でいてくれるのだろうか。

きっといつかフレッドに特別な人が出来たら、自分はどうなるのだろう。
いずれベルンハルト公爵を継ぐために、白百合騎士団の隊長でなくなる日が来る。

そうなってしまったら、今日のように影にさえ触れることなんて出来なくなる。

考えていくうちに思考が負の方向に向かい、瞳が潤んでくる。
「姫様。・・・ベルンハルト伯爵がお見えです。」
(―!)

ローザの声にベッドから飛び起きる。

(笑いに来たのだわ・・・!)
それで無くとも、涙目なのである。こんな姿は絶対に見せられない。

「だめよ!絶対に通さないで。・・・今日は、日に当たりすぎて気分が悪いの。」
「・・・わかりましたわ。伯爵にはそうお伝えしておきます。」
「えぇ。お願い。」

ローザの足音が遠退いていく。


(何をしているのかしら、私・・・。)

一時的に伯爵を遠ざけても、意味が無い事はわかっている。

こんなわがままが許されるのは今だけである事も・・・。

いつかは変ってしまう関係が嫌。
いつまでもこのままの関係も嫌。

でも、もう少し。
もう少しだけ、今のままでいたい。






(もう少しだけ・・・・。)





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comments

こんばんは。
新年早々の新作を拝読させて頂きました!
更新が早くて羨ましいです!

ただただ、セシリアが物凄ーく可愛かったです!

あかつきさまも、二次創作頑張ってらっしゃるな~と感心してばかりです。
私も頑張ろう!と思いました。
(実は、私もただ今『身代わり』二次を創作中なのですが、
自分で敷いたハードルが高いのか、すぐに詰まって中々進みません…orz。
「新刊が出る前にはアップさせる!」と自分を追い詰めたいと思います)
今回の創作も、本当に面白かったです!
可愛いお話をありがとうございましたv

Re: タイトルなし

sakura様


年明けの忙しい時期にコメントありがとうございます。
今年も頑張って更新していきたいと思います。


このセシリア、可愛かったですか!?原作の乙女っぽさより、私の根暗さが出ている気が・・・。
でも、個人的にセシリアの方がミレーユよりも書きやすい気がします。


私も、自分でハードル上げる傾向があります。
今回のものも終わり方で悩みました。ミレーユで締めようか、フレッドで締めようか・・・。
模索の結果、無理矢理セシリアのわがままで終わってしまいました。


sakura様も二次書いてらっしゃるんですね!楽しみです。
また、うかがわせて頂きますね!

明けまして

明けましておめでとうございます。

ツンデレ・セシリアお上手です。
セシリアがかわいいっていうか切ないっていうか。
セシリアもリヒャルト同様にいつまでもこのままじゃいられないって思っているのかしら?なんて考えさせられました。

身代わりサイトさまも増えたし皆さまお上手だし、うちの低糖無糖の需要はアタマ打ちでもう二次はいいかな~なんて思っています(笑)。

今年もお互いに更新頑張りましょうね!

Re: 明けまして


桔梗さま


あけましておめでとうございます。
新年に読んで頂いてありがとうございます。

セシリアはリヒャルトと違ってあんまり行動に移せない人かな、と勝手に思ってます。
(年齢と経験地の差で・・)
あと、セシリアの年代って漠然とした不安とか焦りってありますよね。
セシリアの周りは大人や出来た人多いし、セシリア自身冷静なんだけど、そういう若さからの焦りは上手くコントロールできないんじゃないかと・・・。
(難しいですね・・。文章にするのって。)


「身代わり伯爵」のサイト増えてるんですね~。
甘いのも、甘さ控えめなのもいろんな種類が増えるといいですよね。
(桔梗さまの二次、打ち止めですか!?もう良くないです!個人的な我侭ですが!)


今年も頑張っていくので、時間があったらまたいらしてください!

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あかつき

Author:あかつき
地域 :兵庫県
血液型:B型

☆好きな漫画☆
『フラワーオブライフ』
『ハチミツとクローバー』
『ベルサイユのバラ』
『君と僕。』
『風光る』『海街diary』
『あさきゆめみし』
『天才ファミリーカンパニー』
など

☆好きなラノベ&小説☆
『身代わり伯爵』
『彩雲国物語』
『伯爵と妖精』
『死神姫の再婚』『十二国記』
『銀河英雄伝説』
『嗤う伊右衛門』『魍魎の匣』
など

☆好きなアニメ☆
『マクロスシリーズ』
『夏目友人帳』『とらドラ』
『銀魂』『ヘタリア』
など

主に『身代わり伯爵』シリーズの二次創作を置いています。
よろしければ、どうぞゆっくりしていってくださいね。

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